東北ヘルプ「短期保養支援」の面談結果について
ニュースレター2016年冬号の公開






東北ヘルプ「短期保養支援」の
面談結果について

担当者: 川 上 直 哉
作 成:2016年6月30日
 東北ヘルプは、合同メソジスト教会災害対策室(UMCOR)の資金をお預かりして、2016年6月までのプロジェクトとして、「短期保養」を支援しています。それは、
  イ)放射能に不安を覚えている親御さんを対象に
  ロ)短期保養を行って子どもを守るために、
  ハ)保養のための交通費を支援する。
・・・というものです。

 この支援の大切なポイントは、支援の度に、毎回必ず、面談を行うことです。2016年6月17日現在、川上は721回の面談を行い、208世帯(大人444人、子ども436人)のお話を定期的にお伺いしてきました。回を重ねるうち、これは尋常ではないと、背筋を寒くする思いを強めました。その内容を数字で説明しますと、以下の通りとなります。

1.浜通り(福島県太平洋岸地域)の72世帯との面談の結果

(1)面談をした88%の世帯で、健康に異常が確認されていました。

(2)大人152名の内、以下の症状が確認されていました。
甲状腺B判定(7人)、慢性的な鼻血(6人)、慢性的な空咳(6人)、甲状腺A2判定(5人)、慢性的な発熱(4人)、皮膚疾患(3人)、慢性的な咳痰(3人)、慢性的な鼻炎(3人)、声が出ない(2人)、橋本病(2人)、流産(2人)、溶連菌感染症(1人)、子宮外妊娠(1人)、甲状腺C判定(1人)、胃腸炎(1人)、慢性的な体の痛み(1人)、甲状腺肥大(1人)、甲状腺癌(1人)、視神経炎症(1人)、慢性的な頭痛(4人)、糖尿病の悪化(1人)、白内障(1人)、こぶ(1人)、耳に膿がたまる(1人)、慢性的な不整脈(1人)

(3)子ども150名の内、以下の症状が確認されていました。
慢性的な鼻血(43人)、甲状腺A2判定(37人)、空咳・喘息(28人)、皮膚疾患(26人)、体力の低下(15人)、慢性的な鼻炎(11人)、慢性的な発熱(7人)、慢性的な口内炎(7人)、慢性的な頭痛(7人)、甲状腺B判定(5人)、手足口病(5人)、肺炎(4人)、爪に異常(4人)、慢性的な蕁麻疹(3人)、慢性的な腹痛(3人)、慢性的な足の痛み(3人)、中耳炎(3人)、リンゴ病(2人)、産まれてすぐ鼻水が詰まる(2人)、夜尿症(2人)、首の痛み・しこり(2人)、慢性的な隈(2人)、精巣の奇形(2人)、慢性的な足の裏のかゆみ(1人)、副鼻腔炎(1人)、足の奇形(1人)、慢性的な咳痰(1人)、慢性的な胃腸炎(1人)、慢性的な下痢(1人)、視力低下(1人)、赤血球不足(1人)、慢性的なのどの痛み(1人)、慢性的な徘徊(1人)、とびひ(3人)白血病(1人)、慢性的な貧血(1人)、慢性的な不整脈(1人)、マイコプラズマ(1人)、まぶしがる(1人)、目がかゆい(1人)、上あごに腫瘍(1人)、ものもらい(1人)

2.中通(福島県福島市・郡山市を中心とした盆地帯)の93世帯との面談の結果

(1)面談をした85%の世帯で、健康に異常が確認されていました。

(2)大人201名の内、以下の症状が確認されていました。
慢性的な皮膚疾患(7人)、慢性的な頭痛(6人)、慢性的なだるさ(6人)、慢性的な空咳(4人)、甲状腺A2判定(3人)、甲状腺肥大(2人)、声が出ない(2人)、扁桃腺肥大(2人)、慢性的な鼻炎(2人)、慢性的な貧血(1人)、慢性的な腰痛(1人)、歩けなくなる(1人)、肺がん(1人)、風邪が治らない(1人)、慢性的な下痢(1人)、リウマチ(1人)、毛穴から出血(1人)、中耳炎(1人)、副鼻腔炎(1人)、喘息(1人)、咳痰(3人)、呼吸器が苦しい(1人)、慢性的な発熱(1人)、膀胱炎(1人)、足が勝手にバタバタ動く(1人)、睡眠障害(1人)、大腸腫瘍(1人)、肝臓腫瘍(1人)、慢性的な不整脈(1人)、甲状腺腫瘍(1人)、手足の痺れ(1人)、持病の悪化(1人)、橋本病(1人)、慢性的に喉がイガイガする(1人)、死産(1人)

(3)子ども177名の内、以下の症状が確認されていました。
慢性的な鼻血(39人)、甲状腺A2判定(31人)、慢性的な皮膚疾患(30人)、慢性的な頭痛(9人)、空咳・喘息(9人)、慢性的な口内炎(8人)、慢性的な発熱(6人)、慢性的な鼻炎(12人)、慢性的な下痢(4人)、慢性的な蕁麻疹(3人)、慢性的な疲労感(3人)、慢性的な胃腸炎(3人)、慢性的な足の痛み(3人)、夜尿症(3人)、慢性的な隈(3人)、扁桃腺肥大(3人)、歯ぐきから出血が止まらない(2人)、慢性的な気管支炎(2人)、ひどい爪噛み(2人)、白血球内好中球数低下(2人)、胸が痛い(2人)、貧血(2人)、夜に眠れない(2人)、食欲減退(2人)、とびひ(2人)、慢性的な血圧低下(1人)、結膜の剥離(1人)、慢性的な体力の低下(1人)、低血糖で意識を失う(1人)、肺炎(1人)、身長が伸びず体重が減る(1人)、幻覚を見る(1人)、マイコプラズマ(1人)、慢性的な目の痛み(1人)、声が出にくい(1人)、寝つきが悪くなった(1人)、帯状疱疹(1人)、心臓に穴が開いて生まれる(1人)、軽度肥満(1人)、甲状腺機能低下症・橋本病(1人)、甲状腺がん(1人)、甲状腺肥大(1人)、保養先で黒い便(1人)、バセドウ病(1人)、髪の毛が生えてこない(1人)、急性ストレス障害(1人)、手の震え(1人)、風邪をひきやすい(1人)、骨折(1人)、慢性便秘(1人)、血小板減少紫斑病(1人)、キッシング病(1人)、脇の下と太腿内側が赤く腫れる(1人)、給食のキュウイを嘔吐、顔が腫れあがってアレルギーに(1人)、ERウイルス感染症(1人)、血行不良(1人)、慢性的に目がかゆい(1人)、慢性的に目が腫れる(1人)、甲状腺低下症(1人)、熱性痙攣(1人)、慢性的な咳痰(1人)


3.関東地方(神奈川・東京・千葉・埼玉・栃木)と宮城県内で「2011年3月」を過ごした方々、43世帯との面談の結果

(1)面談をした98%の世帯で、健康に異常が確認されていました。

(2)大人84名の内、以下の症状が確認されていました。
慢性的な発熱(3人)、癌(3人)、慢性的に心臓のところが痛い(2人)、慢性的な体の痛み(2人)、慢性的な鼻血(2人)、慢性的な口内炎(2人)、慢性的な隈(2 人)、耳管内炎症(2人)、甲状腺B判定(3人)、慢性的な鼻炎(2人)、慢性的な吐き気(2人)、慢性的な目まい(2人)、慢性的な不整脈(2人)、慢性的な頭痛(2人)、抜け毛(1人)、慢性的な空咳(1 人)、橋本病(1人)、 慢性的に内臓が痛む(2人)、不整出血と前置胎盤(1人)、鼻と目のかゆみ(1人)、目が痛い(1人)、皮膚疾患(1人)、尿からセシウム(1人)、何度も卒倒した(1人)、バセドウ病(1人)、甲状腺A2判定(3人)、甲状腺肥大(1人)、甲状腺癌(1人)、婦人科の病気(大量出血)(1人)、慢性的貧血(1人)治療用の服薬の副作用で恒常的な病となる(1人)、溶連菌によるリウマチ痛の入院(1人)、盲腸の腫れ(1名)

(3)子ども101名の内、以下の症状が確認されていました。
甲状腺A2判定(22人)、恒常的な鼻血(23人)、とびひ(3人)、皮膚疾患(20人)、口内炎(10人)、恒常的な発熱(7人)、結膜炎(2人)、空咳・喘息(10人)、恒常的な頭痛(8人)、気管支炎(3人)、恒常的な隈(3人)、ぐったりと疲れる(5人)、尿からセシウム検出、(3人)、白血球内好中球数の低下(3人)、恒常的な鼻炎(4人)、恒常的な下痢(2人)、慢性的な痰(2人)、いつも目やにが出る(2人)、免疫不全で出生(2名)、心臓に穴が開いて生まれる(2人)、4歳になっても続く夜泣き(2名)、白血球の数値以上(2人)、体力の低下(1人)、甲状腺B判定(1人)、手足口病(1人)、肺炎(1人)、恒常的な足の痛み(1人)、身長が伸びず体重が減る(1人)、夜尿症(1人)、慢性的な目のかゆみ(1人)、低体重(1人)、雪焼けのような日焼け(1人)、帯状疱疹(1人)、脱毛(1人)、後骨髄球検出(1人)、紫斑病(1人)、痙攣(2人)、虫垂炎(1人)、ヘルペス(1人)、口唇口蓋裂(1人)、慢性的な足の裏のかゆみ(1人)、リンパ節肥大(1人)、外遊びをすると水いぼができる(1人)、


※以上の資料を作成する際、お一人お一人の心痛を記録したメモ全てを見直しました。作業を続けるうちに、その現実に、圧倒されました。何もできない、お見舞いと連帯の言葉をかけるばかりの自分を思いました。ただ、お話しくださった皆様が私と「ともだち」になってくださったこと。それだけが、救いだと思いました。


Aさん(女性・2015年に北柏めぐみ教会で面談)
•現在、千葉県の都市で、自分と、今小学生3年生の二人暮らし。交通事故の後遺症を負っている。千葉県内湾岸地区で被災。その時、保育園に子供はいた。テレビで、爆発を見て、チェーンメールが回ってきた。怪しかった。嘘だという友達もいた。妹から、子どものことを心配して、逃げるように勧められた。子どもが4月から学校に行くようになって、放射能博士のような人がいて、勉強が進んだ。クラスでは2家族だけ、危険を理解していた。
•こどもが空咳が止まらなくなり、病院も役に立たず、病気はわからなかった。身長は伸びず、体重は減り、咳をして吐くようになった。木下浩太氏の講演に参加し、そこで短期保養を勧められた。保養に行ったら、咳が止まった。皮膚にかゆみも出ていたのだけれど、それも止まった。
•かゆみは、自分にも出ていた。それも、保養に出るとそれも止まった。千葉に戻ると、再びぶり返す。最近は、抜け毛が、ひどくなっている。震災後の秋には始まったものである。
•心なしか、保養に出て治まるおさまりが、鈍くなっているように感じる。今夏、稲毛の海に行ったら、目が痛くなった。岡山の海では、痛くなかった。自分の心電図は、異常を示している。この数日、心臓が痛くて、寝付けない。
•母子ともに、移住を希望している。しかし、震災後、家計を支えてくれた実の両親が病気になり、「移住」に強く反対している(恩知らず、と罵られる)。父親は、癌となり、母親は、めまいがひどく、バスにも乗れない状態となる。病院では原因不明とされる。自家菜園の野菜を食べ続けていたことが気になる。

Dさん(女性・2015年に北柏めぐみ教会で面談)
•今、自分、夫、長男9歳、長女6歳の4人家族。東葛地域(東京都東部から茨木県南部までの地域)で被災した。5月の一か月、家族全員が具合悪くなり、夕方には皆寝ていた。倦怠感がひどく、お酒も飲めず、皮膚が痛くなり、口内炎、目の下の隈、が出てきた。
•子どもたちは、生まれてから鼻血を出したことがなかったのに、週二回程度、大量に出て、止まる、ということを繰り返した。自分も、二か月くらい、鼻の中で血が出ていることを経験した。夏の保養が終わって帰ってきたら、長男に、喘息の発作が出る。今夏、長崎に保養に出た際、台風があったのに、発作は出ず、元気だった。しかし千葉では、低気圧でも、発作が出る。
•鼻血は最近、治まっている。ただ、子ども二人とも、足が痛いという。足の裏が痛い。揉んでほしいと。保養から帰ってから、それは始まった。
•夫は、夏休み、保養へ一緒に行ってくれたが、長崎から帰って後、心臓のところが痛むようになった。
•都内で保育園を経営する友人夫婦は、入園者の多くに奇形と体調不良がみられることをはっきりと感じて、熊本へ移住することにしたという。


(2016年10月26日 記)

(ニュースレターの別の記事はこちら)

まとめ:東北ヘルプニュースレター 2016年冬号の公開



<記事1> 東北ヘルプの新しいスタート




<記事2> 福島への支援/福島での支援




<記事3> 台風10号被災地でのキリスト教ボランティアについて




<記事5> 風化に抗って:「東北キリシタン」と「キリストさん」に出会う旅






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