台風10号被災地でのキリスト教ボランティアについて
北三陸キリスト教会 牧師 ドーン・バークナー
ニュースレター2016年冬号の公開
東北ヘルプは、「支援者を支援するため」に、2011年3月18日に、仙台で発足しました。「構造的に、仙台に物資や人が集まる。仙台には責任がある」という現実を考え、その名称は「“東北”ヘルプ」と名付けられ、青森から福島までの被災地をカバーすることが、目指されました。
ちょうど同じ頃、岩手では「3・11いわて教会ネットワーク」が設立されていました。私たちはすぐに連絡を取り、協力を約束しあいました。以来、神様は私たちのつながりに祝福を与えてくださり、良い協力関係は今も続いています。
2016年8月、岩手県を巨大な台風が襲いました。復興途中の地域に、甚大な被害が再び残されました。私たちは、「3・11いわて教会ネットワーク」に連絡を取りました。やはり、支援活動が展開していました。台風被災地は、東日本大震災での働きが再び活用される現場となりました。
私たち東北ヘルプも、何かのお手伝いをしたく思いました。すると、現地で奮闘されるバークナー先生が、下記の報告と支援の呼びかけを私たちに預けてくださいました。
東北で、キリストの愛の働きは、こうして新しく展開しています。これは、皆様の祈りの成果です。どうぞ、引き続きのご支援を、と願いつつ、以下に、ご案内いたします次第です。
(2016年10月23日 川上直哉 記)
北三陸キリスト教会 牧師 ドーン・バークナー
岩手県岩泉町にある北三陸キリスト教会は、2012年6月の設立以来、津波被災者への支援活動に参加するクリスチャンのボランティア活動のセンターとなってきました。岩泉町の小本地区、そして隣接する田野畑村と野田村にあるすべての仮設住宅とその周辺地域で、その活動は展開しています。
岩泉町の海岸地域(小本地区)は、まさに津波被害からの復興過程にありました。そこに台風10号が襲ってきたのは、今年8月の終わりのことです。岩泉地区の内陸部から沿岸部にかけて台風による水害があり、実に広範囲にわたって壊滅的な打撃が残されたのです。
広い地域で、道路は寸断され、電機は止まり、水道が不通となりました。死傷者が出ました。たくさんの人の家が壊れました。そして、岩泉町の数百の家屋は床上浸水となり、一階が泥だらけになってしまいました。人々は、土砂災害(山津波)と津波を思い出さずにはいられませんでした。自宅の二階や仮設住宅に避難生活をしながら、被災者は、日中は家の中で泥かきをし、家の修繕をしています。実際、そうした家々のほとんどはひどく壊れてしまっていたり、あるいは、膝まで泥に埋まっているのです。
そうして、ようやく今(10月末現在)、自宅での生活を復旧させる人や仮設住宅へ入居する人々が出てきています。仮設住宅の増設も進んでいます。遅くとも12月中には家に帰りたいと、多くの人が願っています。あちこちで、自動車も流されてしまいましたので、移動手段を失った多くの人々が、買い物にも不自由しています。というのも、流された家の住人の多くは、老人だったからです。
* * *
北三陸キリスト教会は、岩泉町でもう5年にわたってボランティアセンターとして機能してきました。このたびの台風10号が甚大な被害を与えた地域は、北三陸キリスト教会の周辺地域です。岩泉にある地元の教会として、私たちはすぐ、新らたな活動を開始しました。支援の窓口となり、クリスチャン・ボランティアを組織して、対応を始めたのです。
実に感謝なことに、台風の被害を受けた8月末から今日までの約二か月間で、およそ80名のクリスチャン・ボランティアが来てくれました。ボランティアの期間は、それぞれ一日だったり一週間だったり、様々です。ボランティアは北三陸キリスト教会のボランティアセンターを活用くださり、被災地域に奉仕してくださいました。こうした働きに支えられて、教会は地域に愛の証を立てることができたのです。具体的には、20軒の住宅から泥出しをし、10か所ほどで炊き出しを行い、心のケアのための移動喫茶を行い、岩泉町の中心部から周縁部の広い地域に支援物資を配布しました。
日々刻々と変わる必要に対応しつつ、北三陸キリスト教会は、地域への支援を組み立て、クリスチャン・ボランティアの働きをそこに組み込んでいるのです。
クリスチャン・ボランティアが被災地に貢献するためにはどうすればよいか、北三陸キリスト教会は考えています。ボランティアは温かい心を携えて遠路はるばるやって来てくださるのです。地元の教会の務めは、その思いが形になるように知恵を絞ることだと思っています。
ボランティアセンターの責任者は、何をどこで行うべきか、日々、工夫しつつ考えています。ボランティアの人々は、日本人だけではありません。香港、ペルー、南アフリカ、オーストラリア、カナダ、シンガポール、そして米国からも、ボランティアが集まってきています。日本国内からでも、東北に住んでいる人だけでなく、関東や関西から集まってきています。様々な教会が、そのボランティアを送り出してくださっています。教会だけではありません。様々なネットワークや団体、そして支援組織が、岩泉地域の台風被災者を助けるためにボランティアを送ってくださいました。そしてそのボランティアを受け入れ現地へ派遣する役割を、北三陸キリスト教会が担っています。それが、地元 の教会の役割なのです。
* * *
少なくとも12月末までは、クリスチャン・ボランティアの助けが引き続き必要な状況にあります。その具体的な必要は、以下の通りです。
【ボランティアをお送りください】
北三陸キリスト教会は「岩泉クリスチャン・ボランティア・センター」を設立し、ボランティアを受け付けています。宿泊のための部屋がございます。寝袋か、マットやシートと毛布を、お持ちくださると助かります。ボランティアにお越しの際は、できるだけ、前日までにご連絡を賜りたく存じます。
連絡は、以下の通りお願いします。
E-mail dawndb1☆hotmail.com (常時対応。☆を@マークに変えてご連絡ください)
電話 080 6388-3880(バークナー牧師)
※なお、月曜日は、基本的に、お休みをいただいています。
【支援物資をお送りください】
新品が望ましいのですが、状態の良い中古品もまた、とても助かります。お送りいただく前に、上記の電話番号へ、ご連絡を賜りたく存じます。なお、10月末現在、炊飯器、布団、コンロ、灯油ストーブ、コタツ、といったものが不足しています。
【募金をお寄せください】
岩泉地域での台風被害のために、ご協力を賜れば幸いです。お預かりました募金は、支援物資購入や炊き出し費用などのために用いさせていただきます。
岩泉における台風被害復興支援献金は下記の口座にお振込みください。
また振込みについてE-mail dawndb1☆hotmail.com (☆を@マークに変えてご連絡ください)
まで直接お知らせください。
ゆうちょ・ぱるる Sai Ying Yucho Paruru)
•記号 (Code) 18330 番号 (No.) 2441160
•名前 (Account Name) キタサンリクキリストキョウカイ
※あるいは、「岩手支援」欄へのチェックをつけて東北ヘルプへ募金してくださいますと、その全額が、北三陸キリスト教会に送金されます。
お送りくださいました募金は、岩泉地域における台風被災者への各種の緊急支援のために用います。その上で、なお可能でしたら、野田村の漁業支援に充当したく存じます。鮭の養殖場、漁のための網やトラック、桟橋、そして漁村の住宅が、津波で被害を受けていましたが、そこに台風被害が襲い掛かってまいりましたので、被害が深刻化しているという次第です。
【お祈りください】
(1)ボランティアがさらに送られますように。
(2)雪が降る前に、できるだけ早く、被災者が元の住居で生活できるようになりますように。
(3)台風被災者の傷んだ心が癒されますように。
(4)自宅を完全に失った人がいます。その人々が歩まねばならない、長く長く続く復旧の道のりが、支えられますように。
(5)そして、その長い道のりを、北三陸キリスト教会は、伴走してまいります。教会の働きが守られ宿されますよう、お祈りください。
* * *
岩泉に建てられた北三陸キリスト教会は、礼拝を守り、教会学校を開校し、子どものイベントを行い、クリスマスの催事を行っています。そして、岩泉とその周辺地域の津波被災地で、「被災後の日常」を支えるべく励んできました。そこに、台風10号の被害が襲い掛かってきたのです。祈り、募金、献品、ボランティア派遣が、今、必要とされています。どうぞ覚えて、お支えくだされば幸いです。
Dawn Birkner,
北三陸キリスト教会 ・ 岩泉クリスチャンボーランテイアセンター
〒027-0501 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉村木76
(訳 川上直哉)
北三陸キリスト教会 ・ 岩泉クリスチャンボーランテイアセンター
〒027-0501 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉村木76
(訳 川上直哉)
(2016年10月26日 記)
(ニュースレターの別の記事はこちら)
まとめ:東北ヘルプニュースレター 2016年冬号の公開
<記事1> 東北ヘルプの新しいスタート
<記事2> 福島への支援/福島での支援
<記事4> 東北ヘルプ「短期保養支援」の面談結果について
<記事5> 風化に抗って:「東北キリシタン」と「キリストさん」に出会う旅