「日韓教会交流及び宣教協力増進ツアー」その3

韓国への三つの「お土産」

韓国から無事に帰国して、一週間分の仕事の遅れを取り戻すのに、
実に2週間かかってしまいました。その間、ホームページの更新が滞りました。
ご心配をおかけしました。

引き続き、韓国ツアーの報告をいたします。

出発直前に、参加者にお送りしたメールを、抜粋して、下記にお示しいたします。
この中に、ツアーの私たちの狙いが隠されています。

それは、「フクシマ」を含む被災地を覚えて、国際的な連帯を構築すること、なのです。

今週始まります韓国ツアーに参加される皆様、ツアーのために祈ってくださる皆様

おはようございます。
今日が良い日でありますように。

本日は、いよいよ迫りました今週の出発を前にしておられる皆様に、「三つのお土産」ということを、お知らせ師お願いしたいと存じました。

先週・先々週の準備の中で分かりましたことは、

日韓の間の「準備」という言葉を巡る理解の違いでした。

あるいは、準備のペースの違いであり、あるいは、達成地点の置き方の違いです。

まだその違いをきれいに言葉に表すことができませんが、大切なことは、その違いを学び合い、そして活かすことが、まさに「日韓教会交流」という事柄の意味だと学んだことです。

そうした学びの中で、三つのお土産を、韓国へお持ちしなければならないと思いました。

以下に、書かせていただきます次第です。

1.証(あかし)

私は、今、「多く与えられた者は多く求められる」という言葉を思い出しています。
あるいは、「受けるよりも与える報が幸い」という言葉です。
私たちは、今も支援を必要としています。否むしろ、いよいよ支援が必要な状況の中にあると思います。

しかし、私たちはもうおそらく、物資や資金の支援では足りない程、深刻な困難の中にあるのだと思います。

風化が進みます。それにもかかわらず、課題は個別化し、魂の深いところに問題が及んでいます。困難の中でこそ、神様はよき業を輝かせてくださってきました。
今、その証をしなければなりません。

同じ神様に、いよいよ素晴らしい業を見せて頂くために、です。
私たちは、まず何より、韓国へ「証」をお土産にいたしましょう。
そうして、韓国の兄弟姉妹に、新しい祈りを起こしていただきましょう。
それによって、私たちが新しい神様の業を配することができますように。

どうぞ、「証」のご準備を、引き続き進めてくださいますよう、お願いいたします。

2.資料

祈りを進めるためには、資料が必要です。
知らない事柄を祈ることは、困難だからです。

その為に、3種類の資料を作りました。

第一種類目は、添付ファイルは、東北と震災を伝える基本情報です。

フォーラムなどで配布します。
皆様には韓国でお渡ししますので、必要に応じて、お交わりの際などにご活用ください。

第二種類目は、動画です。

東北ヘルプ制作・日韓教会交流事務局著作というもので、震災以来の概況をお知らせする動画です。

韓国で、皆様にお渡ししますから、教会へおいでになる時、それを先方の牧師先生にお渡しください。

第三種類目は、12月に行われた会津の国際会議の報告です。

これだけは、私たちツアー参加者向けの資料です。
会議の名前は、「放射能に関する宗教者国際会議」でした。

2012年12月5~7日に、行われました。

私たちのツアーは、孤立したものではありません。

ツアーの聖句に「キリストの体」を想起しましたように、多くの方々が、痛む東北を我がこととしてくださって、津波と原発の悲惨を世界に知らせようとしておられます。

その努力の一つとして、神様が私たちの業を用いてくださいますようにと、そう祈りを合わせましょう。

以下に、「放射能に関する宗教者国際会議」の報告を、転載します。

WCCが公式に発表した英語報告の、翻訳です。

ご高覧賜れば幸いです。

抽象的な「核の悲劇」が、「人の顔」をとって具体化した
Nuclear tragedy finds a human face in Fukushima

日本で2011年に起こった福島の災害によって、まるで被災者たちは日々、放射能による公衆衛生の問題、地域社会の生活問題、環境問題といった様々な"不本意な実験"を受けているような状況である。

地域住民に耳を傾けるために開かれた超宗教の会議では、昨年の地震、津波、原子力災害の連鎖反応によって終わりの見えない、現在進行形の人類の悲劇が日々作りだされている事がわかった。

司祭と教区民は携帯電話のように自分のポケットからガイガーカウンターを取り出し、地元の恐怖や不安が本物であることを我々も実感した。

「私は、ここに住んでいれば、何か良いことがあるだろうというのが私の子供を言うことができなんです。中年の男性が、仮設住宅での自殺をしたんです。明日は私の番かもしれない」中下大樹僧侶は2012年12月に日本キリスト教協議会主催の核問題に関する宗教間会議にて、この女性の話をした。

「家の周りの放射線がびっくりするぐらい高かったんです。」と別の女性が中下氏に語った。「私の夫は子供がほしいと思っていますが、私は、もう福島の子供を育てることができないと思っています。」

これらはフィクションではない。子どもたちが屋外で遊ぶことを禁じられており、若い女性が、誰も自分と結婚してくれないのではないかと心配し、母親たちは、収穫された米を子供たちに食べさせてよいかどうか線量を図り、放射能の為に今後住むことのできない家のローンを払い続ける家族がある。これらは、会津放射能センターで日々聞かれる話題の一部である。

こういった放射能測定所があることは、市民が自分の健康へのリスクについての完全で信頼性の高い情報を受け取っていないことを示す証拠の一つである。彼らは、災害が発生してから大量の放射線を浴びさせる無謀な避難計画を皮切りに、政府や電力会社の職員の対応を非難する。

日本基督教団を含む超教派のグループである東北ヘルプは、被災地での食品の放射線測定センターを運営している。食品や農産物のテストに加えて、住民が容易に利用できない母乳や尿の検査と言ったサービスを提供している。検査を受けにきた人達に対して、カウンセラーやチャプレンも配備されている。

「私たちは、放射線被曝に関する正しい情報を得ることが出来ていません・・・。でも、そんなことを言うと、福島が安全であることを信じたいと思っている人達に非難されてしまうのです。」とある被災者は語った。

「最も深刻な問題は、離婚、自殺、家庭内暴力などです。放射線は私たちの体だけでなく、私たちの家族や地域社会の人間関係をズタズタにしました」と別の被災者も語った。

会議では、 「原子力の安全な利用、放射線への許容される安全な被ばくレベルは存在しないこと、原子力発電、生命と平和の間には互換性がないこと」を結論づけた。発題者たちは、現在の手探り状態はチェルノブイリといった他の原子力災害を連想させ、健康リスクと被災者が被った汚名は、広島でも起こったことだと語った。

<核のない世界を望んで>

原発災害に対し、対処に奮闘する家族や地域社会をサポートするため、この会議にはアジア、ヨーロッパ、北米からキリスト教と仏教の聖職者・信者等が87名の会議に出席した。

会議の参加者は、 「原子力エネルギーの民間および軍事的利用に関する議論を信仰コミュニティ内で開始すること」、「ライフスタイルの変化などの行動計画を策定すること」を決議した。

会議は、福島第一原子力発電所から100キロの地点に位置しており、警戒区域から遠く離れた郡山市から始まった。しかし、郡山にも原子炉建屋が爆発し、汚染が風によって広がって作られたホットスポットが点在し、原子力発電所に最も近い町と同じぐらい危険な場所もある。

破損した発電所から漏れた放射線は、長い間国家政策と日本経済において全く疑問視されずにきた。

「想像してみてください!」 とある男性が中下氏に語った。

「何の仕事もお金も産業もない田舎町は、単に原子力発電所の建設を受け入れるだけで莫大な資金を手に入れることが出来たんです。」

会議では、福島の運命は日本の原子力エネルギー利用の結果と実際のリスクを明らかに示した。

「我々は、私たちの創造主と私たちの子供の将来に対する重大な罪を犯した」と会津若松放射線センター代表の片岡輝美氏は語った。「もはや猶予はありません。」

片岡氏は、震災当時安全なところへ避難したが、後に会津へ戻って来た。「私は、利己的になることはできないし、この教会を閉めることができないということに気づいたんです。私たちはここにいて、避難してきた他の人達を助けなくてはなりません。」と述べた。

「我々は一緒に核のない世界の構築するためにここにいます」と彼女は語った。

会議出席者は 「福島の人々や原子力発電によって生じる害を被っている全ての人々の為に祈る」事を約束し、韓国の釜山で2013年に行われるWCC総会に会議宣言文を申し送りたいと思う。

(*)文章=ジョナサンフレリックス:平和構築、軍縮のためにWCCプログラム幹部。

翻訳=遠藤優子:東北ヘルプ職員

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また、この会議の宣言として出された「福島信仰宣言」をご紹介します。

以上が、二つ目のお土産「資料」です。

3.土地の名産

神様は、東北地方に豊かな文化をくださいました。
どうぞ、その文化をお知らせするお菓子などを、韓国の教会宛にお持ちください。

韓国の兄弟姉妹と共に、神様の豊かさを喜びましょう。

 

以上、ご連絡をいたしました。

インフルエンザも流行っております。

皆様どうぞ、お体大切に、出発まで祈りを合わせましょう。

それでは失礼します。

 

日韓教会交流事務局
川上直哉











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