「日韓教会交流及び宣教協力増進ツアー」その2
前回に引き続き、標題の件についてのご報告を申し上げ、皆様の祈りを寄せて頂ければ幸いに存じます。
韓国をはじめとするアジアの皆様との交流を考えるとき、いつも政治と歴史の問題は、避けて通れません。
今回のツアーにおいても、その問題を私たちは深く議論しました。
そして、その会議の結果は、たとえば以下のように、メールで、参加者全員に報告されました。
日韓の絆は、試されつつ、強くなっていくのだと思います。 被災地で見聞きした出来事の数々が、その過程に資すればと願ってやみません。 どうぞ、ご高覧を賜り、お覚え頂いてお祈りを賜りますよう、お願いいたします。
(2013年2月13日 川上直哉 記)
「日韓教会交流及び宣教協力増進ツアー」参加のみなさま
(昨日の会議の報告と三つのお願い)
主の御名を称えます。
以下の通り、会議で話し合いましたので、ご連絡いたします。 どうぞ、お祈りを共に積み上げることができますよう、 お力をお寄せください。
1.「歴史」と「政治」:
もうすでに韓国では、 「歴史」問題に決着をつけ、未来へと進みたいと願う人々が 実に多くおられます。
その現れとして、とりわけ今次の大震災に際しては、多くの熱い思いが、韓国から日本へ寄せられたのです。
このことを、私たちは深く理解し、神様の恵みを覚えなければならないと思います。なにより、隣人の示してくださった大きな愛に深く感謝を覚えるものです。
しかし、その直後、領土問題を発端として、「政治」問題が激しく燃え上がったのでした。その結果、韓国内の教会は戸惑い、足踏みしました。
多くの牧師が、その教会の信徒の足踏みする思いに向き合い、努めて励まし、愛の心を喚起しようと努力を続けています。しかし、その試みも、度重なる政治的問題によって、何度も、挫折を余儀なくされてきたのが現実です。
この韓国教会の悩みと戸惑いが、今も続いています。それで、その韓国の、主にある兄弟姉妹に「未来への一歩を踏み出すメッセージを」と、今回のツアーに対し、韓国側の牧師諸師が求めてこられました。
それは、韓国側の各教会からの切なる願いでした。
2.未来の「宣教」:
そこで、今回のツアーで目指されるべきものが明らかになりました。
それは、未来へ向けた「宣教」の提言です。結果、この目標が、「宣教協力増進」という今回のツアー名に、新たに・改めて、込められることになったのです。
3.三つのお願い
以上に基づき、皆様に、以下三つのお願いをいたします。
3−1.祈りつつ、言葉を練ること:
未来に向けた「宣教」の提言とはなんでしょうか。
この問いに対する答えを導くヒントは、 被災地にあるのではないでしょうか。
つまり、 被災地で始まっている新しい出来事、壁がなくなったことで見えてきた教会の姿、 これまで気付かなかった福音の核心、つまり、皆様がこれまで出会い、体感した出来事の中に、新しい宣教を望見する大きなヒントがあるものと思うのです。
ですから、被災地で起こっている出来事を見つめ、神様が私たちに何を見せてくださったか、何を見せて下さろうとしているのかを、今改めて思い起こし、そして感謝を深めつつ、是非、共に祈りましょう。
そして、祈りの中で見出した言葉の種を、是非、練り上げてゆく、その作業を、皆様にお願いしたく存じます。
その作業は、既に皆さま、十分着手されていることと拝察します。その作業を更に進めてくださり、そうして練り上げられた言葉が韓国で語られる時、神様の業は、更に次の段階へと進むと、そのようにも思われるのです。
そこで、韓国へおいでになる皆様にいたしますお願いの一つ目は、 これまで被災地でご覧になった神様の業をもう一度確認いただき、 感謝の内に、言葉を紡いでいただく、ということです。
3−2.視野を世界へ広げること:
昨日の会議で、一つ、私が知らされたことがあります。
それは、上記のような作業によって知られてくる、被災地に起こっている新しい「宣教」の価値です。
それは、私たちが既に見出しつある、日々の出来事そのものだと思います。
その価値は、新しい「日本宣教」に大きな可能性を示すものだと思います。しかし、昨日来、その価値はそこに留まらないように、思われてきました。その価値は、私が考えていたよりも、はるかに大きなものであったようです。その価値は、世界の同様の苦しみの中に輝くものであるかもしれないということです。
ですから、今回のツアーにおける、皆様にお願いする二つ目のお願いは、上記の祈りによって生まれた言葉を練りつつ、視野を、世界に広げて頂きたい、ということです。
そのことで、皆様の言葉は、大きな広がりを獲得するものと、拝察する次第です。
3−3.歴史問題・政治問題についての立場:
日韓の間にある歴史的・政治的事項について、皆様の立場は、様々にあろうかと存じます。
その立場のすべてが、尊重されるべきものと、私は考えています。
それがつまり、超教派の豊かさということの基盤だと思うからです。
ただ、今回は、上記のような事情がございます。
悩み足踏みしている隣国の兄弟姉妹に、 これ以上の重荷を負わせることは、是非、避けたく願います。
それで、昨日、JEAの皆様と相談して、 皆様への三つ目のお願いが定まりました。
近日中に、JEAの皆様のお力を頂きまして、JEAとしての最新の歴史・政治問題の立場を表した声明文を、川上宛、ご送付いただきます。
川上からその内容をまた皆様へお送りいたしますから、皆様におかれましては、その声明文を事前にお読み頂き、その枠組みを、一応、尊重くださいますようお願いします。
「一応」と申し上げておりますことの意味は、以下の通りです。
勿論、その声明文について、個人的なご意見をお持ちになること、 そして、それを個人的な意見として公の場でお語りになることは、 全く問題ありません。 ただ、その際、一言、「このツアーの建前としての立場は・・・」と、 JEAの声明文を尊重している旅であることを、申し添えてください。 そして、ご自身のお考えを表明くださればと存じます。
これが、「一応」と申し上げることの、意味です。
以上、昨日の報告と、それに基づく三つのお願いをいたしました。
また、確定して報告できる動きがございましたら、必ずご連絡いたします。
また、旅程の詳細に最終的な確定を見ましたら、速やかにお知らせをいたします。
今は、どうぞ、祈り備えて頂ければと存じます。
またどうぞ、この準備に当たります先生方の上に、 主の守りが溢れますよう、お祈りください。
そしてどうぞ、この小さな僕も力を尽くしますから、哀れみの内に旅路を完走できますよう、ご加祷ください。
それでは失礼します。
日韓教会交流事務局
事務局員 川上直哉